2006年09月19日

幻想世界の住人たち

 十代の頃から剣と魔法のファンタジーものを好んできた私にとって、新紀元社から刊行されているTruth In Fantasyシリーズは、未だに買い続けている唯一のシリーズ書籍です。
 このシリーズのコンセプトは、ゲーム等に登場する歴史資料や伝承を、少し詳しい段階まで掘り下げるというところでしょうか。
 本当に専門的なことなら、こういった分野を詳しく研究している人は沢山いますし、より専門的な書籍もでていますが、ゲームや物語を作るための資料としての基礎知識を得るという点ではTruth In Fantasyシリーズはかなり優秀です。
 仮にこういった分野の何らかの詳しい知識が必要なら、この本の終わりにある参考文献の一覧から専門的な書籍の情報を得ることができます。今のところ、運良くそういった必要に巡り合ったことはありませんが(笑)
 時間はかかりますが、読み終わるごとにブログに書評(というより読書感想、あるいは単なる紹介?)を書いていこうかと思います。

幻想世界の住人たち 今回は、Truth In Fantasyシリーズの第1弾
 『幻想世界の住人たち』(健部伸明・怪兵隊 著)です。

 ウィザードリィに代表されるコンピュータゲームとしてのロールプレイングゲームが流行りだした頃、登場するモンスターというと神話や民間伝承から流用されたもので、それらが脈絡もなく迷宮で出現するというものがほとんどでした。たとえば何故か迷宮の奥に水棲生物がいたりとか。しょぼいゲームほどそれが顕著でした。
 テーブルトーク・ロールプレイングのプレイヤーは、当初コンピュータゲームを嫌っていたという印象が強いのですが、その一つの要素がこれだったと思います。
 ゲームのデザイナーに知識がなければ、こんなトホホ状況も当然といえば当然です。当時もモンスター辞典みたいなものはありましたが、簡単な特徴とそれをカバーするかのような大き目のイラストで、50音順に紹介されているという程度のものばかりで、オリジナル・ワールドを構築するヒントになるほどのものはなかったと思います。
 そんな中に登場したのが、この『幻想世界の住人たち』でした。
 ゲームによく登場するモンスターを生息地別にわけ、歴史や伝承をかなり細かく解説していたので、当時としては画期的な内容でした。
 一つ一つのモンスターについての特徴、特性、歴史背景から、時代による姿の移り変わりまでかなり細かく記載されています。 「吸血鬼の弱点が太陽光というのは19世紀末に作られた」みたいな雑学まであるくらいで、特殊な内容でなければ情報量としてはこれで十分なくらいです。
 ページ数の都合から、東洋やヨーロッパ以外のモンスターについてはほんの顔出し程度に留まっていますが、こちらは続刊でより詳しく紹介されています。吸血鬼や天使、悪魔といった存在も続刊で一冊使って解説されています。まぁ、始まりの一冊というところです。

 『幻想世界の住人たち』は1988年発行で、現在は新紀元社サイトでも販売を終了しています。新品で手に入れるのはなかなか難しいと思われますが、版は相当重ねていますから古本なら簡単に手に入るでしょう。
 Truth In Fantasyシリーズの第1巻という位置付けだけでなく、ファンタジー世界を覗いたり作ったりする人にとっても基本の一冊というところでしょうか。



posted by アルシオーネ at 13:35| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | Truth In Fantasy | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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